一般社団法人いきいきライフ協会三宮 代表理事の花家幸二です。当法人は専門知識を活かして、ご高齢者の安心に向けた身元保証をサポートしています。
身元保証相談士は、おひとりさまでも安心して老後お過ごしいただけるよう様々なサービスを行っています。今回は、具体的な事例についてお話したいと思います。
■「身元保証人」がいないと高齢者施設に入居できない?
「高齢者施設」へ入所する際に、施設側から「身元保証人」の署名を求められるのが一般的となっています。この「身元保証人」については、運営する施設と入居希望者との間で締結する「入居契約書」において『身元引受人の権利義務』が想定されており、契約内容を確認すると、多くの場合、『連帯して債務を負う者』となっています。法律的に言い換えれば、「連帯保証人」となり、施設側としては「家賃等の費用については、入居者だけではなく、一緒に責任もって支払ってください。」といった要望に応えてくれる人を求めています。
■「身元保証人」と「成年後見人」の違い
「後見人がいれば、身元引受人がいなくても問題ない」という高齢者施設もあります。この「後見人」と「身元引受人」は大きく異なります。
・身元保証人
①入居希望者自らが身元保証人を選定する。
②緊急時の対応や死亡後の残置物撤去義務が定められている。
・成年後見人
①民法において定められた法律上の制度である。
(後見開始の審判の申立てに基づき)家庭裁判所が選任を行う。
②死亡と同時に後見は終了するため、厳密には死亡後の諸手続きはできない。
■「成年後見人」が「身元保証人」になれるか
身寄りがいなくても、成年後見人が付いている場合に、成年後見人が身元保証人になれるのか、という実務上の問題が生じることがあります。
結論から言えば、成年後見人は、身元保証人(成年被後見人の連帯債務者又は連帯保証人)にはなれません。なぜならば、成年後見人は、入居希望者(成年被後見人)の財産を管理する代理権を有する「法定代理人」であるところ、本人と一緒に債務を負担するとすれば、利益が相反してしまうからです。また、本人の債務を連帯して負わなければならないとする規定もなく、成年後見制度自体がその役割を期待しているわけでもなく、明らかな「職務権限外」にもなります。
DJournal10月28日号に掲載